数珠の由来や意味など、数珠に関する基礎知識を解説!

数珠や封筒

ここでは、数珠の基礎知識を学びつつ、ご自身で購入する際に押さえておきたいポイントをご紹介していきます。
数珠の由来や本来の意味を知ることによって、品物を選ぶのがより楽しくなり、また、ご先祖様や亡くなった御仏に対して、より深い想いを傾けることができるでしょう。

数珠の基礎知識

「数珠」と聞くと、
・多くの人が持っているけど、それにどんな意味があるのか知りたい。
・実際に買おうと思っているけれど、どんなものを選んだら良いのかがわからない。
という方も多いかと思います。

数珠は、日本において古くから使われ、その文化や風習、習慣に深く関わる重要な仏具です。
仏教が持つ宗教的な意味が薄れてきている現在においても、お通夜やお葬式、法事法要、お盆参りといった人生の重要なシーンにおいては、欠かせない、大切なものとなっています。

まずは、その由来やその意味、仏教における役割を知った上で、一般的に用いられる材料やその構造、使い方などをあらためて確認し、基礎知識をおさえていきましょう。

数珠の由来

数珠の発祥起源については諸説あります。
もともとは、インドのヒンズー教の高僧であるバラモンが、宗教行事の際に用いたものが、仏教をはじめとしたヒンズー教以外の宗教の僧侶の間にも広まったとする説が一般的です。
また、仏教の世界では、お釈迦様が、ムクロジの木の実を一つ一つ数えてつなげることで、煩悩が消えると教えたことが、その由来とされています。

今日では、個人が所有する一般的に仏教の法具、すなわち「仏具」として、インドから東南アジア、そして日本を中心に広く浸透し、さまざまな仏教行事において使用されています。

数珠が日本に伝わったのは鎌倉時代ころと言われています。
当初は、仏教を司っている僧侶や貴族の間だけで用いられる、高価な仏具でした。
それが、鎌倉時代以降、念仏を唱えることによって救いが得られるという解りやすい教義を持った浄土宗が広く市民一般に広がったのに合わせて、各個人においても使用されるようになり、広く世間一般、日本全土に広がっていきました。

数珠がもつ意味

数珠は、「かず(数)」の「たま(珠)」、という字のとおり、正式なものは108個の玉が結ばれて輪になっています。
この玉は、仏教における108個の煩悩の数を表します。
煩悩の一つ一つについて、念仏を唱えることによって、これらの煩悩を消し去ることができると考えられていますが、実際に108回も念仏を唱えようとすると、今、何回まで念仏を唱えたのかを忘れてしまいます。
このため、念仏を一回唱えるごとに、玉を一つ繰り、108個の玉を全て繰り終われば煩悩が消える、という意味があるのです。

また、それぞれの煩悩には、これを司る個々の仏様がいらっしゃり、108個の玉はその個々の仏様を表している、とされています。
そして、人がこのような数珠を身につけるということは、自分自身に仏様を身につけていることを意味するため、108個の煩悩を個々の仏様が引き受けてくださっている、と考えられています。
このような解釈から、数珠は、厄除けやお守りとしての役割も担っているわけです。

ひとつひとつの玉が仏様であるため、その輪の中に手をとおすという行為は、仏の世界である浄土に手を入れることを意味し、すなわち、人と浄土をつなぐことになります。
このため、仏教行事においては、素手でお参りするのではなく、数珠を掌にとおし、浄土に自分の手をつなげることが必要であるとされています。

このように、数珠は自分と浄土をつなぐための重要な仏具であり、お参りを繰り返すことで持ち主の念が移ります。
つまり、自分の分身のような意味をもつので、ひとりひとりが自分の専用のものを持つのが望ましいとされています。
当然、お通夜やお葬式、法事法要などで使うときだけ、誰かに借りるというような行為はご法度となります。

また、紐が切れることを、縁起の悪いことと捉える方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。
108個の煩悩の玉を繋いだ紐が切れるということは、煩悩という悪い縁が人と切れる、と解釈されます。
長く使い、お参りやお念仏を繰り返したおかげで、仏様が煩悩という悪縁を切ってくださったと考えられるのです。